人が気づかない目線でものを見る

 

「大きな森を見た時に森にはさまざまな生き物が住んでいて、鳥から見た森もあれば、タヌキから見た森もあるはず。だから〝鳥の目線で森を見ているけど、タヌキから見たらどうなのか?〟ということだけで価値は表現できるし、それをやれるし、やりたい。
森も鳥も実は目線が違うだけで優劣ってないですよね? でも違う目線で見るからバリューが出せる。そっちの方がすてきだし、かっこいい。おもしろがって見ているだけ。大事なのは誰の目線でやっているかだけ。前例を気にしないからこそ、子供たちや大学生と一緒にやっていて、本当に感動する瞬間があるんです」

 

面白法人カヤックが『「面白い人」よりも「面白がる人」であれ』と言っていることに、とても共感するのだという。違っているから、おもしろい。おもしろがるから価値が新しく見えてくる。

 

人の目が輝いている瞬間を増やしたいなと思っています。子供たちと一緒にやっている時も、新しいサービスが生まれる時って皆目がキラキラしているじゃないですか? あの瞬間っておもしろがっている瞬間だし、あの瞬間って新しい価値を創造している瞬間だし、そういうのをたくさん作りたい。そういった子供みたいな大人を増やしたいんです」

 

そう語る永井さんの目がキラキラしていたことは言うまでもなかった。そんな永井さんには、忘れられない人物がいる。

「サーカス式(移動式)学校」の原点

 

「小学4年生の時の担任は、マルヤマ先生という理科の先生だったんです。皆で火を起こしてすいとんを作る授業の時、すいとんの味が薄かったので先生にもうちょっと味付けするものがほしいと言ったら〝そんなものはない、それが戦争なんだよ〟と言われました。その時に〝ああ、そういうことか〟って合点がいきました。すいとんづくりを通して戦争を疑似体験しました。この体験は大きかったなと思いますね。
また先生は〝詩を書いてこい〟〝絵を描いてこい〟〝俳句を書いてこい〟などといろんなジャンルの宿題をたくさん出すんですが、必ず貼り出しをしてくれて、よかった人を褒めてくれる。わたしは詩が得意で、詩を書くと絶対に先生がハナマルをつけてくれた。学校のテストの点数以外ですごく褒めてくれて、おかげで国語が好きになって成績も伸びた。体験することでハッと気づく瞬間や、多角的に人を見て、人の良さを引き出してくれることを、わたし自身が体験したので、今度は自分が同じことを次の世代にしていきたいんです」

 

そして、そんな永井さんがいよいよ来年の夏、レールから外れる「学校外教育」に乗り出すという。

 

箱も壁もない学校をつくります。学生たちと一緒に地域をまわって問題解決をしていく学校。サーカス式のような移動式の学校です。外に開かれた学校であれば、価値観も広がりいじめもなくなります。具体的には映像を使って街の問題解決をするんですが、来年の夏からサマースクールで開催したいと思っています。この6年経験したことの集大成になるでしょう。
船でもいいですね。乗組員も変わる、地域の人も混ざる、誰からでも学べる、立場が逆転していくような学校ーーいま一番ワクワクしています。レールから外れると不安もあるけど、不安を乗り越えられるくらいワクワクできる生き方と仲間と出会えます。ちょっとずつでいいから、レールを外れていきませんか?」

 

レールという呪縛から思いきって外れたことで、「キラリと光るいいもの」が海原のように無限に広がっていそうだ。それを一緒に見てみたい、という気持ちになる取材だった。

 

キャプテン江尻(左)と永井さん。撮影:WeWorkアイスバーグ

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