◆和田麻弥さん◆「ありがとう」が続く国モロッコで「生まれちゃった」砂漠の海賊(後編)

「日本は〝他人に迷惑をかけない〟と言いますが、それがモロッコでは〝皆で助け合う〟ということ」

和田麻弥(わだ・まや)さん
モロッコに住んで16年。現地で旅行会社(http://www.ksour-voyages.com/jp/)を切り盛りする、和田麻弥(わだ・まや)さん。モロッコと日本は片道24時間近くかかるものの、年に2度は行き来している。けっこうな移動距離だが、そのたびに「モロッコで気づいたことを言語化するためには日本に来て話さないと!」と思うのだそうだ。今回は運良く日本に来るタイミングでお会いできた。まもなくオープンするという、こだわりのホテルの話にも迫る。

モロッコは究極のダイバーシティ

 
前編では、モロッコの人たちのおおらかさを垣間見るお話を聞いて、モロッコでは「多様性」がアイデンティティになっているようだ。実際そこには、地理的な性質が色濃く影響していると和田さんは言う。

 

「モロッコはアフリカの左上の端にあるので、下からアフリカ人が、右からアラブ人が、上からヨーロッパ人が行き来した歴史があり、黒人も金髪でブルーアイズの人も、お尻に蒙古班がついてる赤ちゃんもいるんです。宗教的にも最初はアニミズムがあったでしょうけど、その後にはユダヤ教徒が、さらにイスラムが、上からの流れでキリスト教が入ってきて、黒人も白人もいる。地理的にずっとそうだったので、もう垣根がないんです。
言語や習慣が国民を象徴していて、外見じゃない。それはまた〝人種の平等とか、何とかの平等〟とか言っているどんな国よりも平等だと思います。やはり黒人は黒人だし、白人は白人ですが、皆〝一個人〟なんですよね」

 
スーパーのレジで「モロッコ人?」と訊かれることもしばしばという和田さん。外見は関係なくても、心に垣根を感じることはないのだろうか? 
 

「〝今困っている人を助けなければいけない〟ということが行動の基準なので、本当に垣根がありません。たとえば日本だと〝あの子は貧乏だから〟と貧乏であるがゆえに、いじめられることがあるじゃないですか? でもモロッコは〝困っているなら助けてあげればいいじゃん〟という心で皆がつながっています。たとえばモロッコは年金も健康保険もとりあえずあるんですが、正規の社員数が少なく、あまり社会保障の意味を成していないんです。
では何が意味を成すのかというと、〝今日わたしが助けられる分で助ければ、助けたその人もまた誰か別の人を助けられる。その人もまた別の人を助ける、やがて巡り巡って自分に返ってくる〟という輪の中にいることなんです。その中に入ることがモロッコで暮らしていく唯一のルールだと思っています」

 
日本人は「何であいつは10円で俺は200円なの?」と言い出す人がいるだろう。多様性を担保する機能を社会全体が司るーー多様性とは本来そういう土壌でしか醸成できないものなのだろうか?

 
「それぞれの国で、まるで法律のように〝それって常識でしょ?〟と求められる感覚があるじゃないですか。日本は〝他人に迷惑をかけない〟と言いますが、それがモロッコでは〝皆で助け合う〟っていうことで、〝支え合いの輪〟がつながっているんです。
街中に体の不自由な人がいたら、〝あの人には近寄らないでおこう〟じゃなくて、〝どんどん手伝ってあげよう〟という感覚です。街は段差だらけ、穴だらけで全然バリアフリーじゃないけど、若者が自然と車椅子を押しに来てくれるし、杖をついている人の腕を皆取りに来てくれる。モロッコ人は心の上でバリアフリーなんです。道路がボコボコでも困らない。そんな暮らしがあるんです」

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