「コーチ兼山伏」にかける想い

 

活動を続ける原さんの目的や願いはどのようなところにあるのだろうか。
たずねると「自分が健康で健全に生きる」ということ、自分のためにということも大きな目的のひとつだとしつつ、こう語ってくれた。

 

「わたし、40年ぐらいすごく身体を粗末にして。
一生懸命〝自分じゃないものでいよう〟という努力をした末に、変なものになっちゃっていたんです。苦しい感覚で生きてきたんです。一生懸命仕事をして褒められたり、お金を稼いでいたりしていたけれども、やっぱり空疎な感じがしていた。
もちろん、必要なまわり道はあります。ただ、わたしがしてきたようなとてつもない遠まわりは、もう少しショートカットできると思うんです。わたし自身が〝もっと早く知っていたらな〟ということがたくさんあって」

 

紡ぎ出される言葉から想いがにじみ出る。

 

「何か悔しい気持ちがあるんです。そういう時間を過ごしてしまった自分に対しても
あとは、わたしの周囲には自死や事故で亡くなったり、病と共に生きている人が多くいて」

 

「もともとはわたしは彼らと何も違いがありません」と語る原さんの声は、静かで迷いがなかった。

 

〝自分が自分じゃない〟という感覚がすごく苦しいことを、わたしは知っていると思うので。でもそういう人にも本当の感覚とか本当の声みたいなものがきっとあると。それは本当に、今は信じられます」

 

「今」を失い、「身体」を失い、そこから自分の力で取り戻していった原さんだからこそ、伝えられることがある。コーチをしているクライアントの中にも、今は見えなくなっていたとしても必ず本当の、自分自身の感覚や声があると信じることができるのだ。

 

現在は山伏の修行だけでなく瞑想やヨガなども学んでいるという原さん。クライアントのひとりひとりに効果的なコーチング方法を追究している。

 

「コーチングはコーチとクライアントの1対1の関係性で、人の関わりを受け取ることが得意な人には非常に効果が高いです。ただ、そういう人でもちょっとした時間に自然の中で過ごす意識を持ってもらうことで、思い出した感覚を自力で維持しやすくなります。
そもそも、自然の中でぼーっとしているだけで充分なコーチングの効果があるんです。
それで今は、山に人をお連れするという活動をしています」

 

ともすれば一日中パソコンやスマートフォンと向き合い、思考だけが肥大化してゆく現代。情報が氾濫する日常の中で、そのような時間を必要とする人も多いだろう。

 

山はどんな人でも、その人のその時の自然を受け入れてくれる偉大なコーチですし、そもそも人に質問される時間が好きじゃないという人や、あるいは、どうしても思考や言葉に頼りすぎて話してしまう人でも、平等に身体を通じて感覚にアクセスできる
どんな人でも自分にフォーカスしてもらいやすいんです」

 

そこで原さんが山伏仲間と考えたのが、山伏に興味はあってもハードルが高い、体力的に厳しいという方でも少ない負担で参加できる、いわば「山伏行のエッセンス」が入ったツアー。山伏のしきたりに倣って山を登り、護摩行に参加し、精進料理をいただく…「ハイキングとは少し違った自然の中での過ごし方」が体験できるツアーを、毎月1回開催している。

 

もちろん、山伏行や瞑想といった精神的要素の大きいものに対して抵抗のある人もいるだろう。自身もスピリチュアルなものに対しては懐疑的で苦手意識があったという原さんは、科学的な検証や研究などについても触れながら、そういったものを「受け入れづらい」と感じる人たちにも届くような方法の探求を続けているそうだ。

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