◆原美香さん◆永遠に「自分の中の本当の感覚」を探し続けるー「今」を取り戻した女海賊の生業は、コーチ兼山伏(前編)

「自分が自分じゃない、という感覚がすごく苦しいということを、わたしは知っている」

インタビュアー :江尻裕一(Yuichi Ejiri)

ライター :江島悠子(Yuko Ejima)

原美香(はら・みか)さん
山に入ってひたすら歩き、祈る。
自然を敬い、山で得た知恵を人々に伝えるーー
過酷な修行の中で精神を高めるという山伏たちは、歴史や物語の中だけの存在ではない。だが、目の前にいるやわらかな笑顔の女性、原美香(はら・みか)さんが、山伏であると聞いて、驚かない人間はそういないだろう。山伏とは何なのか、なぜ山伏になったのか、原さんに話を訊いた。

「コーチであり、山伏です」
人に生業について聞かれるとこう答えるという原さん。

元はコンサルティング会社で働くバリバリのキャリアウーマンであったという彼女の人生に、いったい何があったのか。

「過去」と「未来」だけの日々

〝今がない〟ということに気づいたんです」

原さんがしていた戦略コンサルティングという分野は、「過去のデータから仮説を立て」、「未来の戦略やビジョンを構築し」、それらを実現させるための具体的な支援をする仕事だ。
強いやりがいを感じながらも、昼も夜もなく働き続け、出張先から出張先に移動する日々。自分がいったいどこにいるのかもわからないような多忙な毎日を送っていたのだという。

 

「仕事そのものは常に興味深いものでしたし、コンサルタントの上司や同僚も、クライアントさんも、一緒に働いた人たちはみんな優秀ですばらしい人たちでした。
ただ、〝過去〟を参照しながら〝未来〟を描くということを繰り返す毎日の中で、ふと〝今〟だけがないということに気づいたんです」

 

自分の「今」の感覚、自分の「今」の感情というのが、何もない。

まるで「今にいない」ということこそが「仕事のできる人」であるかのような錯覚に陥っていたという原さんは、その後、身体を壊して離職することになった。

 

「身体がとても悪くなるまで自分が気づかなかった。
身体の感覚が自分にない、〝今〟の感覚がないのだから今思えば当たり前なんですけれども、〝自分の身体がどういう風にあるのか?〟というのがわからないという、所在のない感覚がすごくあったと思います。
で、それが山の中に入って、〝ああ、身体の感覚というものがあるんだな〟と、たぶん物心ついた時からはじめてぐらいに思い出しました」

 

山伏の行(ぎょう)に入ったきっかけは、ひょんなことから羽黒山伏(山形県の出羽三山で修行を行う山伏)の星野文紘さんという先達(せんだつ:修験道で、他の行者を導く長老格の山伏)に声をかけていただいたことだという原さん。それが「修行の中ではじめて、身体の感覚を知った」ことにより、ライフワークのひとつといえるほど大切な時間になった。

 

「それまでは、知識やスキルのような、自分の外側のものを自分に〝足して〟何かを成し遂げるということにすごく一生懸命でしたが、一方でいつも何かが足りていない感じがしていました。身体ひとつで山を登って降りるという体験をしたことが、自分の中での強烈な変化だったんです」

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