水柿さんの目下メインの活動は、みんなの孫プロジェクトだ。

 

「肩書きは代表取締です。一人暮らしの高齢者の方の生活支援をしています。
協力隊の任期は3年で終わるので、そこからは自分で〝食わんと〟いけません。
孫とじいちゃん、ばあちゃんみたいな関係を作りながら、草刈りなどのサービス請負を仕事にしています。いちおう僕とお話するというルールがあり、依頼者には僕とお茶の時間を取っていただきます。お茶代として500円値引きしますが、いろんな話が聞けるので、逆にこっちが500円払いたいぐらいです」

 

もともと3世代同居の大家族で育った。じいちゃん、ばあちゃん子でずっとサザエさんみたいな一家だった。じいちゃん、ばあちゃんが大好きだから「みんなの孫をやらせてください」という気持ちで始めたプロジェクトだ。

 

「ネーミングを考えていたとき〝あんたはみんなの孫じゃ〟と言われて、なるほど、それでいこうと思いました。移住者だからできるのかな。上山では10集落あるので、集落ごとの関係性もあります。よそ者だからこそ、みんなの孫でいられる。集落の垣根も超えていけるのです。
こうして深いコミュニケーションを取っていくと、ポロッと困りごとを教えてくれます。たとえば、〝お風呂の設定温度を変えてほしい〟とか。そんなの30秒でできることなので、追加料金はいただかずに帰ります。そうすることで依頼された草刈りをただするだけよりも満足度が高くなるんです。たった30秒のことです。もともと農業がしたかったわけではなくて、こういうことがしたかったので」

 

いまは自分のやりたいことと、その役割が合っているのだろうと自己分析する。

 

「野球をやっていて、学生時代に自分の長所を監督にどう売りこむか? と、ずっと考えて過ごしてきました。これは地域や組織でも同じで、得意なことを活かしてポジションを見つけてやっています」

 

自分が得意で、かつ必要とされるポジションを見つければ、快適で楽しいに決まっている。それを、野球から学んだような気がすると、さらりと言う。

 

「その土地や人が好きになったら、やる仕事はなんでも良かったのが正直なところです。もちろん興味があることや得意なことを結果的に仕事にしているわけですが、暮らしていきたい場所をまず優先的に選択してから、仕事や働き方を選んできました」

 

それも現場に出てみなければ、わからなかったことだ。そう、ご自身が言うように上山に来なければ「いまごろ公務員だった」のだろう。水柿さんは幸運にも、自分がいるべき場所を20代の初めに見つけた。

 

「できる限り今の農村の現状を若い世代から若い世代へさらに伝えていきたいんです。僕らはじいちゃん、ばあちゃんからいま継いで、いますぐ伝えたい。なので、とにかくいまこの瞬間の現場を、農村でも他の現場でもいいので見てほしい。なぜなら僕も現場に出てすごく学ばせてもらったからです」

 

水柿さんの上山での生き方に「糧」という言葉が思い浮かぶ。食べていくための物質的な「糧」と、それ以上に、生きていく活力源としての「糧」だ。最後に水柿さんにとって「コミュニティとはなにか?」と訊いた。

 

「義理人情。自身の成長や幸せを得ると同時に、それを還元していきたいと思う存在です」
彼が選択し決断してきた20代――この答えがすべてを物語っているようだ。

自著を持つ水柿さん

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