先日、深圳にまつわる記事を読んだ。26歳の筆者から見たら、初めて深圳へ行って、そりゃあぶっ飛んだろうね。それもわかる。出張で中国のあちこちへ行ったから断言するが、中国は大都市よりも、地方都市のほうがインパクトは100倍強い。なんにせよ、初めて行く中国は強烈だろう。だからといって、日本がボケているということではない。なぜなら、この上っ面で受けたインパクトで中国を語ることなどできないから。深い闇は、外国人には見えないところにたくさんある。あるいは、表面には見えない深いところには、もっと良いものがたくさんあるはずだ。だから、筆者が受けた衝撃だけで「日本終わり」などという論評は底が浅い。そこで今回は、四半世紀ばかり中華圏で「ビジネスマン」をしてきた僕なりに感じたことを書いてみたい。

1992年に初めて南京へ出張したときのことは、今でも忘れない。上海に到着したら、現地スタッフが南京行きの切符を手配してくれていた。言葉はまったく通じないが、切符を握りしめて一人でなんとかして電車に乗り込んだ。と、そこでハタと現地通貨(当時は兌換券)の両替をしわすれていることに気づいた。そう、無一文ってやつだ。しかも、僕が乗っていた電車はディーゼル機関車。車両はめっぽう古く、寿司詰めになったように人がぎっしりいた。座席のクラスは軟座(いまでいうグリーン)だったが、そこでも乗客は飲み食いにせわしなく、大声でしゃべりまくる。静かに電車に乗るなどとは別世界。ふと床を見れば、ピーナッツを食べたカラはそのまま散らかしっぱなし。知らない言葉の洪水と、にわか宴会場と化した車内の騒々しさに、気を呑まれた。

上っ面で受けたインパクトで
中国を語ることなどできない

 

南京まで5時間くらいだろうか、言葉が通じず、手持ちの現金もなく、追いうちをかけるように喉の渇きが極限を迎えた。途方にくれていたそのときに、隣に座っていた中国人が水とピーナッツを恵んでくれた。ピンチに神ありとはこのことかと思った。僕は感激のあまり、南京に着いてからその人を食事に招待したほどだ。その人とはそれっきりになってしまったが、見知らぬ隣人にも気さくに声をかける人情味は、あの車内の宴会状態の混沌っぷりとともに、昨日のことのように覚えている。

 

南京の町を歩いていると、目を背けたくなるような光景のオンパレードだった。手足を切り取られたり、熱湯をかけられて乞食をさせられている子供たち……そんな日常が現実に起きていることに言葉を失った。同時に、一気に進んだ近代化で、こつ然と新しいビルがそびえ立っていたりする。このギャップは何なんだ? 生への渇望と生き抜くことへのエネルギーが有無を言わさず充満した町。これが、25年前の中国の都市の姿だーーたったの25年ととらえるのか、ゆうに25年ととらえるのかは、人によって異なるだろうが。

自信たっぷりだったが、
とても素直に「アグレッシブ」に生きている

その後、僕は95年に上海に駐在したが、当時は市内の高速道路もなく、5つ星ホテルも数えるほどしかなく、いまや上海の発展の象徴である浦東地区などド田舎だった。人はこれからの大きな発展に期待感を持ち、外資系企業には優秀な若者が集まり始めていた。この若者たちは、海外に対する憧れと中国のポテンシャルへの自信が混ざり合ってとても魅力的だった。そして、それから10年後の2005年にふたたび駐在したときは、想像を超える変貌を遂げていた。あっという間に近代化された大都会に変身していたのだ。思い起こせば上海で最初の環状高速道路は、僕がいた95年の1年間だけでできあがった。24時間365日工事を続け、1年後にポン!っと降ってわいたように登場したのだ。10年たったらそりゃ変わってるわな。2005年に出会った中国人は前より自信たっぷりだったが、とても素直に「アグレッシブ」に生きているように思えた。

 

2011年に北京駐在したときは、さらなる激変が待ち構えていた。町が洗練されるのはわかりきっていたことだが、一人っ子世代が社会人となり、巨大ネット企業が台頭し、毎年給与がうなぎのぼりというイケイケ状態の中、そのノリのまま過剰とも思われる自信と勢いのある若者であふれていたのだ。思い返せば、この2011年ころから、中国人たちの自信は半端ないと肌で感じていた。だが、客観性や謙虚さなどどこ吹く風というように、ただただ熱に浮かされているようにも見えた。

ボヤッとしたモチベーションで行くと、ずばり即死

それからまた5年が経った。僕は台湾にも拠点を持っているし、中国人のビジネスマインドをある程度は知っているつもりだ。昨今の「深圳」ブームに乗っかって、日本人が無謀にレッドオーシャンに突っ込んでいくのはアホだ。人が多くて経済が発展しているから魅力的! という発想では甘い。そこで日本人がビジネスさせてもらえるのか? 何が売りになるのか? どれくらいの資本投下が必要で、文化や法律的な問題はないのか? など総合的に見る目が必要なのだ。魅力的な市場だからやっちゃえば? というノリで行くとやけどする。ボヤッとしたモチベーションで行くと、ずばり即死だ。中国ビジネスについては、まだまだ言いたいこともあるし、いずれまた別の機会に譲りたいと思う。

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